食品各分野ごとの動向 (食品化学新聞 紹介 3/4)
食品化学新聞2016年1月14日号まとめ その3
・調味料
MSG、HVP、酵母エキス値上げ
F.B.pageから転載させていただいています。
▽うま味調味料
グルタミン酸ソーダ(MSG)は、12〜13年に各社が値上げを実施したが、
その後も円安傾向は続き、特に14年11〜12月に10円以上の振れ幅で円安に動いたことで輸入価格が上昇した。
原油価格も3年間でやく1.5倍に引き上げられ、
粗糖、タピオカなど主原料、苛性ソーダなど副原料の価格も世界的に高止まりで、昨年前半は各社の2次、3次の価格改定が相次いだ。
MCフードスペシャリティーズは14年11月に10%の値上げ。
味の素は昨年1月に5月1日出荷分から約15%の値上げの実施を発表した。
〜中略〜
また家庭用の「味の素」は5月11日出荷分から約2〜7%、「いの一番」は6月1日出荷分より約5〜10%値上げされた。
しかし、昨年後半は為替も落ち着き、輸入価格も安定。各社の値上げも秋口には完了し、市場は落ち着いている。
▽たんぱく加水分解物
アミノ酸液については、味の素が5月1日、播州調味料が5月20日、新進が5月1日と大手3社が一斉に値上げを実施した。
年末には9割方の交渉は終了。残りは最終製品の値上げが進まない醤油業界の一部となった。
現在は為替、原材料価格は安定したが、以前電気代の高騰が続いており、さらなる価格改定の可能性も残す。
一方、配合品のHVPは価格が上がらず未だ各社の我慢比べが続く。
需要面では「こく」をアピールする商品が増えており、高付加価値が伸長する。
▽酵母エキス
酵母エキス市場は、減塩、減糖製品の物足りなさの補強や、
高値傾向原料の風味増強といったエンハンス効果を狙った製品が採用アイテムを増やす一方、味のベースを形成する汎用タイプも伸びており、全体的に数%の微増。
価格は上げ基調にあるが、高価格品と低価格品に2極化してきた。 〜以下略〜
▽水産エキス
カツオ節エキスは原料となるカツオの不足が続く。
海外での漁業権の見直しで日本への水揚げ量が極端に減少。
近年は枕崎、焼津とも水揚げ量が最盛期の30%弱、
重油大や人件費のコストが価格に重くのしかかる。
さらに惣菜や缶詰企業が多い焼津よりも鰹加工のみの枕崎は不利で原料価格が5円程高い。
ホタテはゲリラ豪雨で北海道厚岸産が流された影響が未だに残る。
昆布はエルニーニョ現象による海の水温上昇により原料真昆布の生産量が減っている。
▽野菜エキス
輸入品の価格高もあり、国産原料の比率が高まる。
玉ねぎは北海道中心に作柄が良い。人参も全国的に平年並み。
白菜は昨年9月の大雨で植え付けが遅れていた茨城産がようやく生産が追いつき平年並みの荷動きに。
椎茸は和風ブームを背景に自然に呈味を底上げするタイプが注目を集める。
▽畜産エキス
原体エキスは原料の不安定さから全般的に生産量は落ちている。
一方でラーメンなどの国産品へのこだわりが強く、冬場の鳥ガラ不足が深刻化している。
各社対応に努力しているが、新規ユーザーの獲得はむずかしい。
・保存料 日持ち向上剤
需要下げ止まり、市場横ばい
ソルビン酸類の需要量は800tで横ばいとなっている。
食品業界で合成品の食品添加物を敬遠する傾向が強まって以来、ソルビン酸の市場規模は縮小傾向にあった。
02年にセブン−イレブン・ジャパンが保存料を排除し、大手CVSがこの動きに追随したため、需要はさらに減少。
CVSベンダーでは、保存料に代わって日持ち向上剤を使用するようになった。
保存料から日持ち向上剤へのシフトは約1年で完了し、それ以来横ばいで推移している。
価格面では、約10年前に中国メーカー各社が価格競争を始め、相場が下落した時期もあった。
ただ、国内品の価格が引きずられることはなかった。12〜13年にかけては、
原料であるクロトンアルデヒドの需拾が中国で逼迫し、中国ソルビン酸の値上げが進められた。
14年には円安の影響でドイツ品、中国品ともに値上げ傾向が続いた。15年の相場は年間を通して落ち着いていた。
続く 次で最後です。
過去記事は目次代わりにpinterestに貼ってありますので、いつでもご覧ください。