光を制する者は養鶏を制す
今回は養鶏(採卵鶏)における「光」の果たす役割や重要性をお話ししたいと思います。
前回 本来鶏の繁殖時期は春であり、それを感じるのは日の光が最も影響する・・というような趣旨をお話ししました。
それを受けて、農場の現場では光をどう使っているかをご説明したいと思いますが、もう少し前提となるお話を。
それは、光(光線)が鶏の卵を産めるようになるための性成熟に、大きな影響を与えるということが分かっているということです。
現場での原則は、性成熟に決定的な影響がある孵化後56日あたりから126日までの期間は明るい時間を一定にするか、増やしてはいけないといわれていますし、その後卵を産み始めてからは明るい時間を減らしてはいけないといわれています。
要は、「光」すなわち明るくする時間をコントロールすることで、鶏の産卵する時期をもコントロールすることが可能ということなのです。
じゃあ具体的には何をしているのかというと・・。
まず先に結論から言うと、“最終的”に「鶏たちに日照時間が16時間であると感じさせる」作業を行っているということです。
別名「16時間ルール」。
この16時間が、鶏が最も産卵率が上がる(高産卵率を維持する)最終目標時間なのです。
単純に例を挙げれば、朝4時に照明を点灯し、夜20時に消灯するようにすれば、トータルで16時間になります。
ただし、この16時間という設定。卵を産み始めればすぐに16時間にするかといえば、答えはNO。基本は生後140日程度になるまで徐々に明るい時間を増やしていきますが、季節によって日の出日の入りの時間が大きく変化します。
その変化を感じさせずに16時間へもっていくのは結構大変な作業。窓の全くないウインドレス鶏舎であればまだしも、自然の光が差し込む開放鶏舎では、日々のお天気にも気配りが必要になります。
ここが「飼養技術」の差になり、最後は卵の差になって現れるのです。
ほんのちょっとしたコントロールミスが、卵の質や量だけでなく最終的には鶏の寿命にも影響する「光」。「光を制する者は養鶏を制す」は、色々な意味で生産者が意識すべき言葉でもあると考えています。
毎日何気なく食べているその卵。少し見方が変わったりしませんか。
※今回ご紹介したものは、採卵鶏の「ボリスブラウン」という鶏種を基に書きました。同じ採卵鶏でも鶏種の違いによっては、運用方法も変わりますのでご了承ください。
a seed プロデューサー 現代自然派調理研究家 Jeff
元々臨床検査会社に勤めていた所から健康的な食事に
興味を持ち、現在は静岡県焼津市の会員制レストランで
食事と健康についての研究や料理プロデュースをやらせて頂いております。
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