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《食⇔健康をもっと知ろう》

各分野ごとの15年の動向を見ていきます (食品化学新聞の紹介 2/4)

食品化学新聞2016年1月14日号まとめ (その1/4) からの続きです。

その2では、各分野ごとの15年の動向を見ていきます。

・分野別解説 

・甘味料

新製品登場で市場に期待

▽高甘味甘味料

高甘味度甘味料分野の15年の話題は、アドバンテームの本格上場であり、
申請者である味の素に加えて三栄源エフ・エフ・アイの2社により新製品が投入された。
 〜中略〜 
いずれの製品もアドバンテームの物性を最大限に生かした製品に仕上げられており、マスキング効果やフレーバーエンハンス効果といった風味改善効果が高い。
ネオテームに続く大型製品の登場により、市場が活況を呈していくことが期待されている。

一方、アスパルテームスクラロースアセスルファムKといった各種合成甘味料は、
中国品の流入がさらに活性化した年となった。
それぞれの輸入通関統計をみてみると、 〜中略〜 最も中国品の影響が大きいアセスルファムKは、11年が60tほどであったが、14年には200tを突破し15年(11月まで)についても140t近い実績となっている。

 千葉県幕張本郷のレストラン"スロフード小杉" の
F.B.pageから転載させていただいています。

中国品による攻勢が厳しいこともあり、パイオニアであるセラニーズ社およびMCフードスペシャリティーズは、

「コーラス」のブランド名でアセスルファムK製剤の新製品上市を発表するなど、マーケットの獲得に乗り出した。

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またステビアは大手飲料メーカー各社による評価が加速したことにより需要が拡大し、10t上乗せとなる190tとなった。
しかし、市場が拡大している反面、原料事情への不安が払拭されておらず、メーカー各社の悩みは尽きない。
加えて、天然甘味料のステビアや天草は、原料不足を背景に大幅な値上げに動いていることもあり、
合成甘味路湯との価格差がさらに広がってきている。

▽低甘味度甘味料

異性化糖や水あめといった糖化製品は、さらなる製品安に苦しめられた1年となった。
天候不順により市場が低迷したなかで量の確保に動いたメーカーとの競合激化により製品価格が安値に向かったためで、
一部の分野では限界利益に近い価格帯にまで落ち込んだ。
このままの状況が続くことになれば、企業再編が起こる可能性も指摘されており、価格是正を進めていくことが必至の情勢なっている。
 〜中略〜 

そのほか、結晶果糖は、スッキリとした味質が再評価されてきたことで、3000t上乗せとなる3万3000t市場を形成。
パラチノースは、「スローカロリー」コンセプトが浸透してきたことで、引合いが旺盛になってきた。

・着色料

世界的な天候不順から弦路湯価格上昇

昨年は夏場の暑さが続かず暖冬を迎えるなど、一昨年に引き続き天候不順の年となった。
他の天産物と同様に複数の品目で収穫量が減少し、原料価格が上昇。
すでに多くの原料が高値に動いている中国と併せて、世界各地で原料価格の高騰が見られた。
また、国内市場では、食用タール色素が過去最低を記録した昨年から数量を持ち直したものの、
天然系着色料への引き合いの強さが見られる結果となった。

▽食用タール色素

昨年厚生労働省が発表した食用タール色素の検定数量は合計で81tとなり、前年から約14%増加した。
当初は主に黄色や青色の数量が好調であった一方、昨年好調であった赤色40号などが大きく数量を落とした。
特に大きく数量を伸ばしたのは青色2号アルミレーキを赤色2号。
昨年からは回復したものの、若干の減少傾向が続いている。
 
一方で、食用タール色素の原料となるナフサ中間体価格は年々高騰しており、
この10年で約5倍にまで跳ね上がっている。
これまで企業努力を続けてきたメーカーもコストを吸収できなくなり、
価格改定に動いている。中国の中間体メーカーの中には製造が出来なくなってしまったメーカーが複数社出ているとみられており、今後もタイトな状況が続くと予想される。

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▽天然系色素
天然系色素市場は昨年に引き続き、さまざまな品目の価格が高止まり、上昇となった。
ここではいくつかの品目を挙げる。
〜中略〜

▽カカオ

カカオの高騰に引きづられる形で、カカオ色素原料も大幅に上昇した。
カカオ色素原料の主産地の1つである中国では、2004〜2013年で人件費が5倍以上に跳ね上がっており、
こうしたコスト増により厳しい状況が続いている。
これに加え、西アフリカではカカオより収益の高い作物への転作、ガーナでの天候不順の影響をうけた形だ。

▽ブドウ果汁

ブドウ果汁色素も天候不順などの影響を受けた品目のひとつ。
14年の新クロップが、干ばつの影響で玉がタイトになった。
また、農家の転作もあり価格が前年の1.5倍ほどまで高騰した。
メーカーはコストを吸収しきれず、15年夏頃から価格改定に動いた。今後の動向が注目される。

続く

                            

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