表示の裏側にある生命力とは
大手のスーパーでも、国産、無農薬、有機栽培、などと表示されているものは珍しくなくなりました。
しっかりと表示されている様子を見ると とても安心ですが、逆に
表示さえ 国産、無農薬、有機栽培ならすべて安心なのでしょうか?
本来 表示とは関係ないところに、食べ物の本質はあります。
生き物である野菜を扱う農家が、その食べ物の本質を栽培基準におくと、アプローチの方法は 今とは また違ったものになります。
それは、表示には書き表せない部分であり、表示とは関係ない世界に、息づいているものです。
実際 無農薬でも農薬と認定されていない薬品を使っていたり 有機栽培と言えども認定されている農薬はあります。
種に関しても現代はF1種という安定的に生産量が確保できるように特別に品種改良された種が主流で 一度撒いたらそれで終わり。その都度、種をメーカーから買わなければならないのです。
さて、ベビーリーフは収穫に時間がかかり、非常に傷みやすく、流通には どちらかというと不向きな野菜です。
それなのに大型スーパーに行くと、国産、無農薬、有機栽培と書かれた、50g98円のベビーリーフを数多く見かけます。
自分が栽培する身になった今、このベビーリーフに感じるのは
「50g98円のベビーリーフを、作るために作ったのだな」という事です。
つまり 表面上 国産、無農薬、有機栽培などなど、消費者のニーズにお応えした上で、単価を下げれるまで下げる。徹底的に下げる。
その結果、管理しやすい形が採り入れられます。
ハウス栽培は当然となり、日本中のベビーリーフはどれも似た印象になってゆきます。
満足に生長していないもの、陽当たりの悪い軟弱なものであっても、とりあえず50gに揃えられ、パックされる。
陳列棚に並んでいる状態で、早くも傷んでゆくベビーリーフの姿を見た消費者や小売店は、「ベビーリーフは傷みやすい」「取り扱いたくない商品」というイメージがついていきます。
流通優先、表示優先の先にあるのは、こうした負のスパイラルです。
本来 F1種でなく、在来種から種を取って丁寧に育てた、ベビーリーフなら二週間持ち、そんな風に育てたベビーリーフは 顔も一本一本が異なります。
ただ その為には 太陽と、雨と、寒さ暑さの中で、四季のリズムに合う品種を選び、肥料を出来るだけ絞って大切に大切に育てなければなりません。
なかなか言葉では、その違いを表現することは難しいですが、実際に召し上がって頂けた方には、必ず伝わってゆくものだと信じています。
愛情と生命力 そして消費者の方の健康を基準に作った野菜の品質と意識は、利便性や流通システムよりも優先するべきものだと思って日々取り組んでおります。
- a seed 現代自然派調理研究家&プロデューサー Jeff -
元々臨床検査会社に勤めていた所から健康的な食事に
興味を持ち、現在は静岡県焼津市の会員制レストランで
食事と健康についての研究や料理プロデュースをやらせて頂いております。
https://www.facebook.com/jeffrielau
過去記事は目次代わりにpinterestに貼ってありますので、いつでもご覧ください。
彦根市の坂根龍我さんの漆作品などの一望は waca-jhi's diary 。