waca-jhiのブログ

《食⇔健康をもっと知ろう》

生まれた卵から季節を感じる

今日は 新潟県の卵農家さん 富樫さんの、季節によって卵の色が変わるお話です。

梅雨入りの声が聞こえ、食卓にも芽吹きの食材から成長の食材へとバトンタッチ。

季節は春から夏に向かっているんだなと、食べ物から実感すること多いですよね。

では、その実感できる食材のうち、「卵」についてはどうでしょう?

えっ、卵に季節感あるの?って思った方、多いと思います。

そうなんです。一年をとおして最も効率的に卵を産む環境を作り出すため、日本では全く窓のない「ウインドレス型鶏舎」が圧倒的に多いのが現実です。

人間が光も気温も湿度も餌もすべて管理し、鶏に季節を感じさせないようにしているため、結果として日本では卵に季節感が反映されにくいのです。

でも、よく考えてみてください。毎日食べているにもかかわらず、暑い日も寒い日も「鶏という生き物」が関わるに、全く季節が感じられないって、やっぱりちょっと変じゃないですか?

鶏舎へ常に日の光や風が入ってくる「開放型鶏舎」を基本にし、その上で外へ放し飼いにしている私どもの農場では、鶏たちがどう変化するかをご紹介したいと思います。

  このページはF.B.ページ "A seed" さんの了解をいただき紹介させていただいています。

本来鶏の繁殖時期は春。

このため、冬から春にかけては鶏が最も大きく変化する季節です。

まず、冬用のふわふわの羽が徐々に抜け落ち、繁殖期に「質のいい卵」を産む体力を蓄えるために、食欲も旺盛になります。

餌は、その食欲に合わせて配合の割合を変えていきます。

それに加え、毎日与える青い葉も人間が準備したブロッコリーの葉やキャベツ・白菜などから、

鶏舎周辺に自生する山野草の若芽などに切り替わっていきますので、ますます鶏たちが季節を感じて準備・変化していきます。

他にも、自らを綺麗に見せ他の鶏と区別してもらうため、触ると手に油分が残るほど毛づくろいを丹念に行います。

それと並行して、自分の優秀な血を残すために鶏同士の序列付けが始まり、安全とおぼしき「いい場所」の巣箱を確保に連日奮闘が始まります。

江戸時代の「大奥」を連想していただければ、イメージはぴったり。

また、精神的にも人間同様ウキウキしたハイな気分が続き、ちょっとしたストレスが、仲間への攻撃という形になって現れるのもこの時期。

そうすると、卵の形がずんぐり丸みを帯びていたものが、ちょっと長細い形に変化したり、表面にガサガサしたものが出てきたりします。

しかし、この環境の中で最も影響があるのは「光」。

「光を制する者は養鶏を制す」とまで言われるのですが、詳細はまたの機会に譲るとして、鶏たちは、徐々に長くなる日照時間と日の光の強さをちゃんと感じています。

紫外線など人間が見えない光の種類も、きっと見えている(感じている)でしょう。

うちの農場で飼育している鶏であれば、冬の間深く濃い茶色が主流だった卵殻色が、少しずつ少しずつ明るい茶色になってきます。

これは、「保護色」を鶏たちが利用しているもので、大切な卵を外敵に見つからないよう、光の弱い時期は濃く産んで、光の強い時期は薄い色で産んでと、産み分けているのです。

この現象の大小は、鶏の種類によっても違いますし、日齢によっても違いが出ます。このことから、卵殻色の濃淡と卵の栄養素との相関関係は全くない、ということが分かりますよね。
(注・・白色の卵は最初から色素がないので、この保護色のお話は当てはまりません)

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そして今。春の繁殖期を過ぎ夏に向かう途中には、梅雨が来ます。連日の曇り空がざわついた春の疲れを癒すように鶏たちを落ち着かせ、蒸し暑い気温が本格的な夏の暑さに耐えるよう体を順化させる準備期間になります。

この影響もあってその順化期間は、産卵率に波が出ますし、餌の食べる量や好みも変化します。

本格的な暑さが来た時に、この期間で少しずつ暑さに備えてきた鶏と、急に暑さにさらされる鶏。どちらのダメージが大きいか、人間の場合に置き換えると分かりますよね。

真夏。鶏たちは私が教えるまでもなく、涼しい場所を探して土を掘ってうずくまり体温を下げ、冷たい井戸水を飲み、西瓜や胡瓜といった夏野菜を食べて体の内部から冷やす、といった生きる術を身に着けて生まれてきます。

これほど母体や食べ物・環境が刻々と変化しているのに、卵が季節に対応して変化していないはずがないのです。

鶏たちの持てる力を引き出すことによって、季節に合った卵を産んでくれ、それを実現するために人間は、日常から非日常を見逃さないようサポートしてやる。

お互いの持ち場で力を合わせることで、本来あるべき卵に少しでも近づければと思い、今日も農場へ向かいます。

今日手に取ったその卵。鶏たちの雰囲気と季節が感じられるといいですね。今度は皆さんが日常から非日常を見つけ出す番です。

皆さん、お元気にお過ごしですか。投稿期間が開いてしまい申し訳ありません。

A seedのジェフさんのご厚意により、私どもの思いを伝えることができる機会をいただいた第2回目の投稿です。

少しでも、農業や畜産について皆さんの心に「引っかかり」ができればと考えています。

全く臭いのしない養鶏農場って想像できますか?

リアルでしか体験できないこともあります。

五感を研ぎ澄ませ鶏の雰囲気感じる経験、サポートします♪
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自然と暮らす愉しみからうまれた卵で 自然を食す悦びをお届け

鶏飼い職人 富樫 直樹

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鶏の力を引き出す 放し飼い卵のオークリッチ

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- a seed 現代自然派調理研究家&プロデューサー  Jeff -
元々臨床検査会社に勤めていた所から健康的な食事に
興味を持ち、現在は静岡県焼津市の会員制レストランで
食事と健康についての研究や料理プロデュースをやらせて頂いております。
https://www.facebook.com/jeffrielau

                            

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